平成29年 6月22日

 

本日は、厚生労働省社会・援護局地域福祉課 生活困窮者自立支援室長の本後健様にお越しいただき、「生活困窮者支援にどう挑むか」というテーマで講演会をしていただきました。

様々な理由で生活に困窮している人に対し包括的な相談支援をし、本人の状況に応じた支援をする「生活困窮者自立支援制度」の概要や現状、今後の課題を中心に、生活困窮者への支援について実際に携わっている方から話を伺うことのできた貴重な機会となりました。

生活困窮者自立支援制度は今まで国が踏み込むことのできなかった個人に対して包括的な支援することができる制度であり、他制度と連携して生活保護に至る前の第二のセーフティネットを構成し、就労支援を含む自立を助長するシステムから地域づくりといった取り組みまで連動している新しくとても重大な役割を果たす制度であることが理解できました。実際に性別や年齢や就労の有無にかかわらずたくさんの人が制度を利用しており、就労支援に結果が表れていることからもこの制度の必要性を感じました。また就労支援を通して特定産業での人材不足や地域課題の解決につなげるという考えは、個人の尊厳の確保と地域づくりを同時に行うことができ、相乗効果で課題を解決できる素晴らしい仕組みであると感じました。制度の今後の課題としては支援につながっていない人をどう助けるのか、社会的孤立にも対応できる地域づくりなど簡単には解決できそうにない問題がいくつか挙げられました。そういった問題に対して、役人として「世の中の事象をフィルターなく見ることができるか、起きていることを経験してなくても想像できるかどうか、解決策を必死で考えて、それを政策に高めることができるのかを大切に考えている」という話が印象に残っています。お話の最後には学生の質問にも一つ一つ丁寧に対応してくださり、貧困へのアプローチや地域による制度の差などについて分かりやすく答えていただきました。

私は生活困窮者自立支援制度の重要性を感じるとともに、今までこの生活困窮者自立支援制度がなかったことへの不安を感じました。自分がどうしようもなく生活に困窮した時に、まず何をしたらいいのかを判断するのは難しいと思います。事件が起きれば警察へ、大きな怪我をしたら病院に行けばいいのは常識ですが、生活に困ったときにそれをサポートしてくれる国の制度があることは、知らない人も多い問題だと思います。実際に厚生労働省で働く本後さんの言葉からは、課題が難しいながらも解決するために、想像し考えることを続けている情熱を感じることが出来ました。自身の経験に基づいた話の内容には引き込まれるものがあり、身近な問題として考えさせられる機会となりました。

今回お忙しい中、このような貴重な機会をいただけたこと感謝申し上げます。本後様ありがとうございました。

3年 東谷大成