平成29年10月5日

本日は、NPO法人 BONDプロジェクトの代表者の橘ジュン様とカメラマンであり旦那様の多田憲二郎様にお越しいただき、講演をしていただきました。

BONDプロジェクトは、DV、虐待、貧困、性暴力などの深刻な問題によって生きづらさを感じ居場所がない少女たちに対して、渋谷を中心とした繁華街での声掛け活動、相談、行政などの専門機関との連携、シェルターでの一時保護等の支援をしていらっしゃるNPO法人です。本日の講演会では、橘さん達がこの活動を始められたきっかけや、活動を通じて出会った少女たちの事をお話ししていただき、そしてBONDプロジェクトがNHKの番組「プロフェッショナルの流儀」で取材されたときの映像を流していただきました。

社会保障制度があるのにそれを知らないため、保護を受けることができずに生きづらさを感じてしまい、社会保障と現場の少女達の声にはズレがあります。このズレに対して、NPO法人BONDが少女と行政をつなぎ、制度と現場のズレをなくす役割を果たしています。また、橘さんの著書『最下層女子高生』で、とても印象に残った言葉がありました。「受けるべき愛情を両親から与えてもらえず、自己肯定感をさんざん否定されてきた彼女のわずか19年という人生を振り返ってみても助けてもらうという選択肢はないのだ。」一見、行政機関に相談しに行けば解決することができると思うかもしれませんが、彼女たちにはそもそも機関に助けを求めるという考え自体がないのです。このような少女たちが悩みを抱えてしまうのは彼女たちの育った環境が深く関係しているのかもしれません。社会保障法を学んでいる私たち学生としては、貧困に苦しむ人に対して生活保護を適用するといったことに目が行きがちですが、決してお金の補助といったことだけではどうにもできない事情があるからこそこのような少女達の「生きづらい」といった悩みが尽きないのだと思います。

お金だけでは改善できないこのような悩みに対してもNPO法人BONDは電話やLINEでの相談を受け付けており、少女達を行政などの必要な機関につなげること以外の方法によってでも常に少女達に寄り添っています。一か月に数千件にも及ぶ相談がNPO法人BONDには寄せられており、人には言えない悩みを抱える少女達がこれだけいるということを知ってとても驚きました。この事実を知らない人々はまだまだたくさんいるでしょう。

まずは、私たちがこのような深刻な悩みを抱えた少女たちがいるということを知り、理解することが大事なのではないでしょうか。

この度は、お忙しい中、このような貴重なお話を頂けましたこと感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
3年 渡邉智佳子