平成30104

 

本日は、“NPO法人血液情報広場・つばさ”の理事長や公益財団法人日本骨髄バンクの常任理事を努めていらっしゃる橋本明子様にお越しいただき、講演をして頂きました。

橋本様は、自ら日本骨髄バンクを設立し、骨髄バンク発足後には血液がんと小児がん患者やその家族への情報提供活動等をなさっている方です。今回は、主にご自身の活動について、骨髄バンク設立について・情報提供活動について・支援活動についての3点を軸にお話しして頂きました。

 

【骨髄バンク設立について】

橋本様のご子息が白血病に罹患された1986年当時、日本には骨髄バンクがなかったため、橋本様は自ら日本骨髄バンクを設立させるために運動を始めました。1988年から約1年かけて、骨髄バンクの早期実現を求める国会議員請願署名活動や骨髄バンク設立要求一般公開シンポジウム等の活動を続け、翌年に77万人分もの国会議員請願署名を提出し、ついに骨髄バンクの設立が承認されたそうです。しかし実際に日本骨髄バンクが稼働したのは承認されてから約2年後と聞き、私自身、国を動かす大変さを知ると同時にもどかしさを感じました。橋本様は骨髄バンク設立のための一連の運動を通して、「いま」切実に必要となった時に「誰」が「どう対応」していくかが大事だということを切実に感じたそうです。そしてご自身の経験を振り返り、命の次に欲しかったのは情報であったと感じ、続いて情報提供活動を始めました。

 

【情報提供活動について】

橋本様が理事長を務めていらっしゃる血液情報広場・つばさは、日本全国でフォーラムを開催するなど多くの情報提供活動をなさっています。患者様ご本人やそのご家族など多くの方が参加されている様子が写真から見て取れました。フォーラムの内容の一部を教えて頂きましたが、抗がん剤の作用機序についてなど本当に専門的で難しい内容のものが多く、しかもつい最近本庶さんがノーベル賞を取ったことで有名になった『オプジーボ』についても、2年ほど前から既に勉強していたとのことでフォーラムの質の高さに大変驚きました。それと同時に、普通であればなかなか知りえないであろう事を専門家の方に詳しく教えて頂けるというのは、患者様ご本人やそのご家族にとってとても有益で病気と闘う励みになっているのだろうと強く思いました。

 

【支援活動について】

橋本様達は情報提供活動だけでなく、がん電話情報センターやつばさ支援基金といった支援活動も行っています。がん電話情報センターでは、患者様やそのご家族から電話で様々な相談を受けています。特に今の時代は薬があれば生活していけるガンが多くあり、ガンと闘いながら普通に仕事に行くといった患者様も多くいるため、同じ生活者として暮らしの中の「いま」に寄り添って解決策を共に考えていくことが大事になるそうです。またつばさ支援基金は、がん治療薬の開発ラッシュの一方で2007年以降世界経済が急変し薬代を払えないために治療を断念する人達が増加したことに伴って発足されました。命を守るための薬が目の前にあるのに、高すぎるあまり買えないというのは患者様達にとってより辛い事実だと思うので、これを支援する活動は大切だと思った一方で、国がもう少し支援することはできないのかなとも思いました。

 

橋本様の一連のお話を通して、何もわからないところから数年で骨髄バンクを設立したり、製薬会社や官僚の方達と対話しながら情報提供活動や支援活動までやってのけてしまうその行動力やバイタリティに頭があがらない思いになりました。

長々と連ねて参りましたが、ご多忙の中ご講演頂きました橋本様に心より感謝申し上げます。誠にありがとうございました。

 

3年 杉本裕佳子