私たちは合宿1日目の5月31日に、東京電力廃炉資料館を訪問しました。
この資料館は福島第二原子力発電所のPR施設であったエネルギー館をリニューアルして作られました。原子力事故の記憶と記録を残し、二度とこのような事故を起こさないための反省と教訓を伝承していくことを目的としています。

まず初めに、2階のシアターホールにて地震発生から原子力事故発生までの過程を再現した映像を観ました。制御室の電源システムが津波によって原子力事故が東京電力の安全に対するおごりと過信によって引き起こされてしまったということが繰り返し強調されていました。原子力事故を防ぐためには、「止める」「冷やす」「閉じ込める」という3つのステップがきちんとなされることが必要ですが、第一原発では津波による浸水で電源装置が機能しなくなったことにより、「冷やす」ことが出来なくなってしまいました。その結果、水素爆発が起こり、このような事故になってしまったということです。一方、第二原発では、非常時用の電源装置が生き残っていたため、「冷やす」ことにより事故を防ぐことができました。
次に、汚染水管理の原則について学びました。汚染を防ぐためには、汚染水を「取り除く」「汚染源に近づけない」「漏らさない」の3つを守ることが重要です。現在では一日あたり約110tの汚染水が排出されており、その処理が今後の大きな課題になっているそうです。
また、何人かのゼミ員は実際に現場の方が使っている作業服の着衣体験をさせて頂きました。マスクまで装着すると、周りの声はほとんど聞こえず、視野も大変狭いということがわかりました。1回使うごとに焼却するということです。また、夏場は相当暑くなるため、熱中症対策のためクールベストを着用する、14時から17時は作業をしない、といった対策が採られていました。

全体を通して、係の方のお話の中で、「作業し続けている限り、汚染水はいつまでもなくならない」という言葉がとても印象的でした。これは、作業に使用した長靴などを除染するために使われる水もまた、汚染水となってしまうからだそうです。震災から8年という長い年月が経った今、事故は遠い昔のことのように感じてしまいがちですが、実際に現地を訪れることでまだまだ解決しなければいけない問題が残っているということを実感しました。私たちの世代がこの問題を決して風化させないよう、努力することが再発防止につながっていくのではないかと思います。

吉福晴菜