今回、被災地訪問ならびに被災地視察として福島県を訪問させて頂きました。いわき駅からレンタカーに用い、富岡町まで移動し、二つ目の訪問先として富岡町役場を視察させて頂きました。以下、訪問レポートです。
初めに、富岡町役場の職員の方々から東日本大震災後の富岡町の復興状況と町の現状に関するお話を頂きました。大きな問題点として、富岡町は福島第一原発の被害を受け、3度の避難を強いられたことから、その間に他地域に居住し、避難指示が解除された後も戻ってこない住民が多く見られることを挙げられていました。数値で示すと、震災前に約16,000人いた人口も今は約13,000人に減少しており、そのうちの約半数は震災後新たに町に移住してきた人たちであり、町に戻らなかった人々は働き盛りの年代が多く、町に戻ってきた多くは高齢者であったとお聞きしました。震災前は2世帯住宅が多く、2世代、3世代間での生活が多かったものの、このような現状により、医療や介護の重要性、必要性が再認識され、新たな働き手を必要としているそうです。
復興への計画として「特定復興再生拠点区域復興再生計画」を策定し、その中の4つのゾーンを再生するために、必要な政治・事業の実施を進めているとのことでした。具体的には、居住地としての機能再生や商業施設の拡充や再生、新たな農業や産業を始める環境づくりなどをテーマにしているそうです。教育面では、2018年4月から学校が再開され、2019年4月からは認定こども園(名称:にこにここども園)をスタートするなど、教育の充実も進んできています。
お話を伺った後は、最先端のMRシステム(Mixed Real System)を使うことで実現した、仮想現実を体験させて頂きました。専用のゴーグルを装着し、実際に歩くことで、震災直後の町にいるかのような景色が広がり、災害の記憶や経験をリアルに体験できました。建物は崩れ、瓦礫は散乱し、町は崩壊している、というような言葉を失う光景が目の前に広がり、改めて自然災害の恐ろしさ、そして怖さを認識させられました。このシステムはリアルを伝えることを目的としているそうで、被害を風化させずに防災教育をしていく上で、重要な役割を担っていくものだと感じました。
私は、震災当時、北海道に住んでおり震災の影響を少なからず受けましたが、津波や原発の被害がこんなにも甚大なものであったと考えていませんでした。実際に目で見て、空気を感じることによって得ることができた町や状況や、現実を忘れることなく今後も「復興」「再生」という言葉に向き合いながら勉学に励みたいと思っています。
最後になりますが、大変お忙しい中、私たちのためにお時間を作って頂き、多くの知識を享受してくださった富岡町役場の職員の皆様並びに関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

小柴大河