令和2年10月8日

 本日は、福井県知事である杉本達治様より、早稲田大学にて直接ご講演をして頂きました。東京の大学を卒業し、旧自治省にお勤めでもあった杉本様から、福井県の現状と課題や東京都と地方の行政の違い等、幅広いお話をして頂きました。その中でも特に印象に残ったお話とそれについての感想を2点述べさせて頂きます。
 
 1つ目は、福井県についてのお話です。福井県は、「全47都道府県幸福度ランキング2020年版」(一般財団法人日本総合研究所編)において、総合1位を獲得しています。この理由の一つとして、福井県には皆が働く場所があって、皆が生きていく場所があるということを挙げられていました。具体的には、確固たる産業基盤による雇用の安定や、働く女性の数が日本一であること、そして子供から大人まで学び続ける環境が確立していることなどが挙げられるそうです。その中で、福井県行政としては、職員クレドによる仕事の進め方改革や長期ビジョンに基づいた県政運営を行っているというお話を伺いしました。これらのお話を聞いて私は、将来生活を送っていく場所として東京以外という選択肢も広く見ていきたいと思いました。私は長野県出身ですが、一番便利で幸福になれそうという理由から、東京で就職したいと漠然と考えていました。しかし、コロナウイルスによって、東京一極集中ではなく地方分散型国家の大切さを学び、働き方の多様化が進んでいることや今回のお話をうけて、地方それぞれにまだ自分が知らない魅力や特徴がたくさんあることを知りました。そこで、東京以外で就職するということも広く視野に入れていきたいと考えました。
 
 2つ目は、福井県で行われた県民向けマスク券配布についてのお話です。福井県では、今回のマスク不足に対して、ただ県民全員にマスクを配布するのではなく、欲しい人が買えるようにマスク券を配ったと伺いました。その理由として、財政上の観点から、ただマスクを配るだけでは費用対効果が薄いことや、いらない人にもマスクが渡ってしまうことなどから、本当にマスクを必要としている人にマスクを買ってもらうという仕組みを作る必要があると考えたからだそうです。このお話から、なるべく経済に任せることで、財政的問題を解決しつつ真に必要としている人にはしっかり届くような政策を考えることが大切であるということを学び、私はこのお話に強く納得しました。普段のゼミ活動である判例研究をする際に、より充実した社会保障制度を確立すべきであるという考えを持つ一方で、やはり、財政的な限界があるため、今の制度で留まるしかないという結論に至ることが度々ありました。そこで、今回のマスク券についてのお話を聞いて、福祉の分野においても、行政としては、財政上の問題解決のためになるべく経済活動に任せながらも、結果的に福祉拡充に繋がるような仕組みを作っていくことが大切であると改めて感じました。

 最後になりましたが、3年生である私は就職活動において色々と悩んでいる最中ですが、杉本様の「自分の直感を信じ、覚悟をもって決断する」というお話を伺い、今までやってきたことにこだわりすぎず、もう一度初心に帰り自分を見つめ直し、そして決断するときは覚悟を持って行いたいと強く思いました。この度は、大変お忙しい中、貴重なお時間を割いてご講演をしてくださった杉本様に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

3年 松本 涼