令和7年5月1日

感想

3年 播昌樹

 

 

本日はこども家庭庁を訪問し、職員の方々と「若者支援」をテーマとした意見交換会を行いました。菊池ゼミでは、昨年度の自由課題研究において「子育て支援」をテーマに研究を行った班がありました。その研究成果にこども家庭庁幹部の方が関心を寄せてくださったことがきっかけとなり、今回の貴重な機会をいただくことができました。

こども家庭庁は2023年4月に創設された最も新しい官庁です。「こどもまんなか社会」というミッションのもと、全てのこども・若者が、自立した個人としてひとしく健やかに成長し、心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、ひとしくその権利の擁護が図られ、身体的・精神的・社会的に将来にわたって幸せな状態で生活を送ることができる社会の実現を目指して活動されています。(こども大綱より)

 

今回の意見交換会は、職員の方々を交えてのグループディスカッション形式で進行し、ディスカッション終了後には、各グループがその成果を発表しました。具体的には、昨今深刻化する少子化問題を背景に、「ライフデザイン支援」の視点から若者支援の在り方について検討するというものでした。未婚率の上昇や夫婦間の子ども数の減少など課題は多岐にわたりますが、これらの問題に対し、若者である私たち自身が「今」真剣に向き合うことの重要性を強く感じました。

 

ディスカッションでは、就職活動を機に初めて将来について具体的に考えるようになったという意見が多く聞かれました。それ以前は「結婚したい」「子どもが欲しい」といった漠然とした願望はあっても、具体的に将来設計を考える機会は少なかったというのが実感です。実際、私自身も結婚や子育てに関心はありますが、家庭を持つにはどの程度の費用がかかるのか、仕事と育児の両立が現実的に可能なのかといった点について正しい知識がなく(自分で調べようとせず)、SNSやメディアから流れてくるネガティブな情報ばかりを受け取ってしまっていると感じます。また、身近にロールモデルがいない、あるいはいたとしても身近な人だと考え方が似通っているため多様な視点を得にくい、という意見も挙がりました。結婚や出産を望みつつも金銭的な理由などで諦めている層や、そもそも関心がなく情報収集をしない層に対しては、ライフイベントについての理解を深め、人生の選択肢を広げる「ライフデザイン支援」が非常に有効だと感じました。学生時代に幅広い情報を得られるような取り組みがあれば、より多くの若者の関心を引き出すことができるのではないかとも思います。学生側からは、幼少期には「人生ゲーム」のような親しみやすい形で将来を考えるきっかけを与え、中高生には具体的な人生設計を考えるための講義やワークショップの機会を教育課程に導入するという案が出ました。しかし、教育課程への導入にはこども家庭庁だけではなく、文部科学省との連携が不可欠です。このように、他の官庁や企業とも協力し、分野の壁を越えた取り組みを行うことが重要であると感じました。

一方で、「中高生の段階で将来について語られると、自分の価値観や方向性が揺らぎ、不安になる」といった意見や、「結婚を押し付けられているように感じてしまう」といった懸念も示されました。もちろん、結婚や出産は個人の自由であり、決して強制されるべきものではありません。このバランスのとり方は非常に難しく、慎重に検討すべき重要な課題だと感じました。

 

今回の意見交換会を通じて、普段のゼミ活動で取り組んでいる判例研究とは異なる、より実務的な視点からの検討ができたと感じています。このような貴重な機会をくださったこども家庭庁の皆様に、心より感謝申し上げます。

私たち若者が「今」、この問題について真剣に考えることには大きな意義があると思います。今回の意見交換会が、若者世代の率直な声として少しでも参考になっていれば嬉しく思います。誠にありがとうございました。