平成31年4月18日

 

本日は、早稲田大学社会科学総合学術院の棟居徳子先生にお越しいただき、デートDVについて講演をしていただきました。

棟居先生は、大学院の頃から国際人権法を学び、「健康と人権」という分野に焦点を当てた研究を進めている方です。理論的なことだけでなく、当事者の方と関わろうとする現場主義を実践なさっています。

はじめに、デートDVとは、未婚の恋人同士の間で起こる暴力のことであると定義付けられています。DVとはドメスティック・バイオレンスの略称であり、一般的なDVは配偶者間、同居人間での暴力のことを指すため、その点でデートDVとは区別されます。

デートDVについては、2007年の横浜市のアンケート調査を皮切りに、多くの調査が行われています。平成30年3月の内閣府「男女間における暴力に関する調査」によると、1833人の調査対象者のうち、女性の約5人に1人、男性の約9人に1人は交際相手から被害を受けたことがあると回答しています。この中には、殴る、蹴る、首を絞めるなどの命の危険を感じる暴力を経験したことがある、という回答も含まれています。また、女性の9人に1人は特定の異性からのつきまとい等の被害を受けたことがある、女性の約13人に1人は異性から無理矢理に性交された経験があるということも分かっています。決して少なくない数の若者が、デートDVの被害を受けたことがあるという事実に、大きな衝撃を受けました。

そして、デートDVは、5つの種類に分けることができます。殴る、蹴るなどの身体的暴力、無視をする、怒鳴るなどの精神的暴力、着信履歴を確認するなどの行動の制限、避妊に協力しないなどの性的暴力、お金を返さないなどの経済的暴力の5つです。調査結果によると、「行動の制限」に関する被害経験の割合が最も高く、その中でも返信が遅いことを怒られる被害経験の割合が高いようです。

このような多発するデートDVへの対策として、被害者を守る関連法が設けられています。代表的なものとして、DV防止法、ストーカー規制法、リベンジポルノ防止法が挙げられます。その他にも、対策として、デートDV予防啓発や被害者支援が実践されています。例えば、デートDVを身内に相談することが出来ない場合、「デートDV110番」に電話相談することができます。今後の課題としては、低学年からのデートDV予防教育の必要性、被害者支援体制の構築、全国ネットワークの拡大などが挙げられます。

最後に、同じ飲み会に参加していた友達が性的被害にあった場合、相談を受けてどうすればよいか、被害に遭わないよう何ができたか、の二点についてグループディスカッションを行いました。相談を受けた時はしっかりと耳を傾けることが大切であり、危険を感じた時には、間接的に話を逸らしたり他の先輩に面倒を見てもらったりと、被害を未然に防ぐために行動を起こすことが重要であるということを学びました。

最後になりましたが、大変お忙しい中、貴重なお話をしてくださった棟居先生に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

 

3年 三橋 民実