今回の福島合宿2日目に、南相馬市の福島ロボットテストフィールドを訪問させていただきました。
初めに、福島ロボットテストフィールドの概要と南相馬市の復旧・復興政策についてご説明いただきました。南相馬市は、東日本大震災からの復興とより一層の発展のため、産業振興の分野において、福島ロボットテストフィールドを核として新産業創出と人材育成等を目指しています。福島ロボットテストフィールドは、福島イノベーション・コースト構想に基づいた陸海空ロボットの世界最大級の研究開発拠点であり、無人航空機エリア、水中・水上ロボットエリア、インフラ点検・災害対応エリア、開発基盤エリアの4つのエリアに分かれてロボットの実験や試験、イベントが行われています。福島イノベーション・コースト構想とは、東日本大震災及び原子力災害で失われた浜通りの産業分野復興のために、新しい産業基盤の構築を目指す国家プロジェクトです。このプロジェクトでは、ロボット使用のための制度整備を行い、福島県にロボットの関連新規事業を誘致しているそうです。福島ロボットテストフィールドでは、ロボットによる災害時の状況確認やインフラ設備の点検を訓練したり、ドローン物流の実証実験を行ったりしています。さらに、南相馬市と浪江町の各拠点の間約13kmに渡って、飛行実験を行うことができるとのことです。このような実験を行うために、地域の方に理解してもらうことも仕事の1つだと仰っていました。施設全体は未完成ですが、既に2019年3月までに63の事例で活用されており、2020年3月に完成した後、夏にはWorld Robot Summitが開催される予定です。
お話を伺った後、トイドローンという小さなドローンの操縦体験をさせていただきました。ゲームのコントローラーのような機械で、上下左右前後の移動と方向転換が可能です。ドローンを安定させながら動かすことは難しかったですが、自分が操作した通りに物体を動かすという体験はとても面白かったです。今回体験させていただいたドローンはおもちゃのように小さなサイズでしたが、様々な技術が詰め込まれ、多くの方々が携わって作られているとのことでした。
最後に、工場を模した試験用プラントを見学させていただきました。遠くから見て一際高さのある建物で、近づいてみるといくつものパイプやハンドル、メーターが設置されており、本当に工場の一部であるような入り組んだ作りになっていました。試験用プラントでは、ドローンにメモリを読ませたり、2つ同じコースを使ってレースを行ったりするとのことです。
福島ロボットテストフィールドは、広大な敷地の中で未だに建設途中の建物も多くありますが、震災の影響を受けた地域でイベントの実施や企業の誘致等により人を集め、着実に事業を進め実績を積み上げています。関連事業に携わる人やその家族が南相馬市に移住し、他の分野の需要が増えて、職も増えることで、より一層地域の産業分野が盛り上がると思います。ロボットのような最先端のIT技術を使って、復興発展を遂げていくという壮大なプロジェクトを生で見ることができ、お話を伺うことができて、感服しました。今回協力してくださった方々に感謝申し上げます。貴重な経験をさせていただきまして誠にありがとうございました。

手塚菜緒