令和元年7月31日

 

本日は台湾大学より蔡茂寅先生にお越しいただき、台湾における法学教育について日本との比較を交えつつご講演頂きました。
台湾には法律科及び研究所の数が約120カ所あり法律を学ぶ学生は約17000人です。昔と比べて法律を学ぶ人は増えたものの人口比でいうと法律を学ぶ人は少ないそうです。法学教育の内容として、法律家になるには主に二つのルートがあり(1)高校卒業後に大学の法律学科に進学して法律研究科(日本の大学院に相当)に進む方法と(2)高校卒業後に大学では法律以外の学科で学び、卒業後に科法所(日本のロースクールに相当)に進学する方法があります。
法学教育の内容は必修科目と選択科目に分かれますが、近年は大学の特性や学生の興味を優先するために必修科目の数を抑えて選択科目の数を増やす傾向にあります。また、勤労奉仕が卒業に必要な単位として学生に義務付けられており、法律を学ぶ者が世間と乖離するのを防ぎ社会の経験を積ませる工夫をしているそうです。
卒業生の進路としては、国家考試(日本の司法試験)や公務員試験、その他の資格試験を受ける人が多く、民間に進む人は少ないようです。弁護士や司法官(裁判官や検察官)になるためには2,3回試験に合格しなければいけず、弁護士になれるのは約11%、司法官になれるのは約3%と決して簡単でないことがわかります。
大学教育における過去の状況と今後の展望について、(1)教授が生徒の需要に応えるために研究分野を教えるより試験対策をすることや、教授自身が試験委員になるために努力する人が多いこと、(2)社会から乖離している法律の専門家が多いことを反省点として挙げられ、(3)語学勉強のために海外留学するなど、どのように研究を深化させるか、(4)近年は沈静化しつつあるものの大学の法人化という点について今後の展望をお話しいただきました。
時に台湾大学の写真を交えつつわかりやすくご説明頂いたことで、台湾における法学教育について理解が深まり、日本で法律を学ぶこととの違いに興味を抱きました。いつか台湾を訪れる機会があったら台湾大学を訪れたいと思います。

最後になりましたが、大変お忙しい中、貴重なお話をしてくださった蔡先生に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

 

3年 荒木 孝仁