北海道大学にて早稲田大学菊池ゼミと北海道大学加藤ゼミの合同ゼミが行われました。

1日目は、同性婚の是非について議論しました。
第一に、同性婚の合憲性を議論しました。同性婚については、憲法13条、14条、24条との関連が問題となっています。まず、憲法13条につき、個人の尊厳や自己決定権の尊重、人格的生存という観点から、同性婚を認める必要性があると考えられます。また、14条との関連においても、法律婚と事実婚との間には、民法その他の法律の規定により、享受し得る利益に差が存在します。ゆえに、同性婚が認められていないことは14条違反の問題も生じ得るといえます。最後に、24条との関連についてです。憲法24条1項は、婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立するとしており、この「両性の合意」の意義が問題となりました。ほとんどの学生は、解釈により24条によっても同性婚は禁止されないという結論を導き出しました。というのも、憲法24条の趣旨・目的とは、婚姻について婚姻当事者以外の過度の介入を防ぐこと、男女間の平等を図ることにあると考えられるからです。他方で、加藤先生が仰ったところでは、憲法の規定で「両性」と明記されている以上、「両性」という文言に忠実に解釈するべきであり、その結果として同性婚を認めることは困難であろう、とのことでした。同性婚の是非の問題は、憲法という国の根本規定を解釈によってその射程を拡大することができるかという問題まで広がるものであるといえるでしょう。
第二に、パートナーシップ制度について議論しました。これは同性のパートナーを公的に宣言する制度です。しかし、パートナーシップ制度には、法的な効果が付与されていません。また、数ある自治体のうち、この制度を認めているのは20強の自治体にすぎず、地域間格差もあるといえます。では、パートナーシップ制度よりも強固な法律で同性婚を認めるべきでしょうか。この点について、菊池先生が仰ったことには、法と社会の関連について考えるべきだ、とのことでした。あるべき社会を目指すべく法が規律していくのか、あるいは、人々により自然に形成された社会に法が枠組みを与えるのか、言い換えると法が先か社会が先かという点まで考えることができます。現状の社会が同性婚を違和感なく受け入れるだけの土壌が整っていると言い切れないのは事実でしょう。そうだとすると、直ちに法律で同性婚を認めるべきだとすることは困難であるのに対して、パートナーシップ制度は、その内容については不十分な点が多いとしても、社会的合意を形成する契機を与えるものとして小さくない意義を有するものであるでしょう。
2日目は、判例(札幌高判平30.8.22・札幌地判平29.12.13)を用いて三人意見をしました。
朝から行われたにもかかわらず、早大、北大ともに盛んに議論がなされ、オーディエンスの方からも意見が飛び交う活発で有意義な時間となりました。

勉強以外では、早大の合宿係と北大の皆様が主体となって様々なイベントを企画してくださいました。初日は2組に分かれ、一方は海鮮を食べ、もう一方はサッカーを観戦しに行きました。2日目は複数の班に分かれ、それぞれ観光地巡りをしました。北大生の案内のおかげで非常に楽しい時間を過ごすことができました。夜は、ジンギスカンをみんなで食べ、早大・北大の親睦をより一層深めることができました。

今回の合同ゼミを振り返ると、勉学も遊びも非常に充実したものであり、まさに菊池ゼミのモットーである「よく学び、よく遊べ」を体現することができたものでした。このような時間を実現できたのは北大加藤ゼミの皆様のおかげです。加藤ゼミの皆様には感謝申し上げます。ありがとうございました。

川崎 一輝