令和元年11月7日

本日は市川市生活サポートセンターそら(so-ra)の主任相談支援員である朝比奈ミカ様から『生活困窮者自立支援制度と相談支援から見えてきた社会』についてのご講演をいただきました。内容としては、①制度説明、②具体的事例、③制度実施状況、④相談支援の役割と社会の課題、⑤これからの課題についてお話して頂きました。
特に印象深い話を3つ記載させていただきます。
1つ目はホームレスの人数についてのお話です。ホームレスの人数は数値上減少しているように見られるが、実状は増えているということを知り、非常に驚きました。数値と実状に乖離がある原因は、統計方法とホームレスの住処の変化にあるということでした。以前まではホームレスの方々の多くは公園や路上を住処にしていたが、ネットカフェに住む方々が増加してきており、目視での統計では実情と数値にズレが生じてしまうということでした。
2つ目は「制度が対応していない問題は存在しない建前になっている」という話です。多忙の夫から家事を任され、2人の子供を育て、入院中の姉の看病をし、一人暮らしの母を介護する女性は、何に当てはまるのだろうかという問いに深く考えさせられました。複合した問題を抱える家族全体に対し包括的にかかわる仕組みがない、というのは大きな課題であると感じました。
3つ目社会の課題と相談支援の役割についてのお話です。身寄りがいない人、社会的に孤立している人について説明して頂きました。これらは大きく重なり合うが、違いもあること、現代日本の「無縁社会」について知ることが出来ました。本人から見える世界への理解を深め、「こころの基盤」と「生活スキルの基盤」の構築を支援していく必要があると教わりました。
我々がゼミで学んでいる法制度が用いられるその現場で、多くの生活困窮者を救ってきた朝比奈様のお話に感銘を受けるとともに、今後の日本社会や社会保障制度の在り方を考える良い機会となりました。

最後になりましたが、お忙しい中、貴重なお話を頂いた朝比奈様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

3年 石川拓実