文:3年 山本恭士

訪問日時:2023/06/19(月)16:00-16:40

福相食品工業様では、代表を務めていらっしゃる末永様にお話を伺いました。

福相食品工業様は代々伝わる伝統的な製造方法で、ハムやベーコンづくりなどを行っており、その歴史はなんと江戸時代までさかのぼります。震災による津波の被害、そして原子力発電所の事故による放射能拡散により、福相食品工業様が位置する小高区の人々も慣れ親しんだ土地から離れることを余儀なくされました。避難指示は現在解除されましたが、震災前は約1万4千人いた人口は、3000人程であり、さらに、その大半を高齢者が占めています。そのため、労働者不足、若い人材の取り合いが大きな問題になっているとのことです。

また、震災後の事業についてもお伺いしました。原発事故の後、福島の風評被害が問題視されていましたが、福相食品工業様にも多くの問い合わせが届き、売上高も震災前の5億円に対し1億円まで減少したとのことです。震災から約10年が経ち、風評被害を感じることは少なくなったが、新型コロナウイルスの蔓延やロシアのウクライナ侵攻による物価高など新たな問題に直面されているとのことでした。

実際に震災を体験した当事者の方のお話しは、一つ一つが重く、強く印象に残るものでした。3.11という日に起きた一つの地震が、平穏な日常生活と積み重ねてきた歴史を奪ったことを肌で感じ、人間の無力さを感じるとともに、時間とともに進む震災の記憶の風化をさせず、次世代に伝えていく必要性を感じるきっかけとなりました。

震災当時、被災後の食品工業の復興、さらに被災地に残された問題についてなど、大変貴重なお話を伺うことができました。末永様、お忙しい中、ご講演いただき誠にありがとうございました。