令和6年6月23日

感想

3年 宮山蒼弥

 

今回の合宿では、希望者4名のみが1日早く現地入りをして視察を行いました。最初に訪れたのは福島県いわき市にあるいわき震災伝承みらい館です。

この施設には震災と津波に関連した展示と、施設の周辺を見渡すことのできる展望デッキがあります。展示には、被災当時の状況を伝えるパネル、地震や津波によって損傷した物、津波の映像、復興の様子のパネルなどがありましたが、私が率直に思ったことは「どれもリアルだな」ということです。

まず、目に入ったのは被災当時の状況を伝えるパネル、「薄磯・豊間の証言」です。ここには、地震発生当時の状況での被災者の声が展示されています。この展示はどれも生々しく、被災者がどれほどの恐怖と驚きを持って当時の状況を見ていたのかが強く伝わってきました。特に印象に残ったものが以下の2つです。①「男の子のバレー部の子どもが上がって来たかっ、あっと思って、そのうち孫も上がってきたの。そして上がった途端に津波が来たわけね、大きな津波が。」「下でみんな水かぶって、あっぷあっぷ、あっぷあっぷしていたの。」②「3階建ての監視塔があるんですが、…波ではない、黒い壁だ」。これらの証言は当時の状況がよく描写されており、私達が感じることのない感覚を知ることができました。

次に目に入った展示は、近隣の旧いわき市立豊間中学校に関連するものです。被害を受けた勉強机や奇跡のピアノ、「自身の心得」パネルなど色々ありましたが、とりわけ印象に残ったのは黒板です。震災発生当時、豊間中学校では卒業式が行われており、黒板にはたくさんの寄せ書きがありました。思えば13年前、私も学校にいました。何かが起こるとも全く想像していなかったあの日、突然巨大な地震が発生しました。そして、事態が深刻になっていることを後で知ることになりました。いわき市でも当時は当たり前のように卒業式を行い平穏に1日が終わるはずだったのではないかと思います。豊間中学校の展示は、何気ない日常がある日突然、何の前触れもなく変化してしまうことを如実に物語っています。また、東京に住んでいる私からは、いわき市を含め震災の被災地のことはどこか遠いことのように考えていました。しかし、この展示を見て、決して他人事ではないということを実感しました。

この施設には他にも、被害状況を伝えるパネルや震災後の取り組み、放射線についてパネルで説明されており、次に大きな災害が起きたときのための教訓が書かれています。また、津波の映像が流れたり、地震や津波に対してどのように対応するかといったことがクイズ形式で学べたり、地震大国日本に住む私たちにとって非常に有用な展示が多くありました。1階の階段付近には震災に関連する本も置いてあり、菊池先生の著書もありました。今回は時間の都合上読むことができませんでしたが、機会があればこちらも読んでみたいと思いました。

最後に見たのは2階の展望デッキです。ここからは津波が押し寄せてきた海沿いの景色を一望することができますが、驚いたのは津波が来る前と現在の比較です。津波が来る前には数多く存在した家々が存在した場所は、現在は空き地になっており、震災前後では様相が全く異なっていました。災害がいかにその地域を変えてしまうかということについても知ることができました。

今回のいわき市震災伝承みらい館では、現場でしか学ぶことのできない「リアル」を、身をもって勉強することができました。そして、大切なことは、有事の際に何ができるのかを日ごろから考え行動することであると改めて思いました。

いわき市震災伝承みらい館の皆様、貴重な体験をさせていただきありがとうございました。