令和6年 6月24日
感想

3年 野澤真子

小高区地域振興課おだかぐらし担当課長を務めっていらっしゃる高野様に、東日本大震災のときの災害対応を中心に震災当時、それからのこと、そしてこれからの小高区についてお話を伺いました。

まず、震災当時の小高区の様子について、実際に市内で発生したパニック、想定外で起きたことを写真とともにご説明いただきました。実際にそれらに直面した高野様からお聞きして、当時の混乱を現実として実感することができました。自治体の対応としては、救助と避難、避難所の確保に加えて、流通の停止に医療福祉や商店などまちの機能の停止、盗難の発生やペットの野生化などの問題への対応など多岐にわたり、当時の忙しさがうかがえました。また、南相馬市消防団による行方不明者捜索や避難所のリーダーをはじめとする活動が印象的でした。地震や津波だけでなく放射線による被害もあり、自らを危険にさらして救助に行ける他の団体が少なかったために、地域の団体が大きな役割を果たしたのだと思いました。

震災直後から今に至るまでの、避難指示区域の設定や解除、除染作業などの取り組みと現状をお話しいただきました。今は、あらゆる職種での人手不足や子どもを中心とした人口減少に悩まされているそうです。また、災害関連死や震災によって生じた精神的な障害は今も続いています。建物はお金をかければ修復可能ですが、人の心や地域性をどう修復するかが難しいそうです。「心の復興」はこれからも続いていきます。
一方で、震災当時からその後、そしてこれからも地域に尽力する自治体、地域の心のつながりのおかげで今の小高区があるのだと考えます。厳しい状況下であっても自治体や消防団員の活動が行われたのは、地域のコミュニティや思いがあったからこそだと思いました。また、「おだかで、はじめる。おだかで、つながる。」の「おだかるマインド」生き生きと説明する高野さんの表情からも小高区への思いが伝わり、地域を思う気持ちを素敵だなと感じました。

災害の発生は、直後にはメディアでの報道に人が関心を寄せますが、報道されなくなるにつれて徐々に忘れていってしまうことが多々あります。災害の規模や数字などの情報だけ気に掛けるのではなく、現に被災地にいる人の立場を真剣に考えなければならないと思いました。被災地では、そこに暮らす人が復興に取り組んでいること、今も完全には収束していない原発事後や「心の復興」を忘れてはいけません。

マスメディアを通してしか福島の震災を知らなかった私にとって、高野様のお話は地域の視点から震災を考える大変貴重な機会でした。改めまして、この度はご多忙の中、ご説明いただきありがとうございました。