令和6年6月24日

感想

3年 吉富蒼

 

初めに、特別養護老人ホーム梅の香様に東日本大震災当時の状況や、施設状況や抱える問題、それに対する取り組みについてお話を伺いました。
この施設では要介護認定された60名の方が生活されており、利用者さんのユニットケアを尊重されていました。
東日本大震災当時、梅の香は20キロ圏内の小高区で、原発の警戒区域に位置し、避難指示がされました。そこで、利用者の方たちを誘導しつつ、自分の身を守った上で350メートル先の整備されていない道を通って避難所へ行くことの難しさを教わりました。また非常時における状況やそれに対する住民同士の連携、助け合いの重要性を教わりました。
その後原子力発電所の事故によって、南相馬市画警戒区域、警戒準備区域、その他の3段階で分断され、また予測不可能であったために行政の対応も難しく、今後どうなるのかという不安を各自が抱えることとなったそうです。ただ職員さんは不安を周囲にうち漏らすことなく、職員に残るかどうかの選択を与えた上で、食事の調達や、利用者の世話に追われたそうです。
その後、テレビ局の取材を受けたことをきっかけに横浜の施設で受け入れてもらえることとなり、利用者を連れて避難したそうです。
7年後、再開した梅の香は様々な問題を抱えています。
3.11を機に、従来型の施設から、ユニット型の施設に改修しました。しかし、震災当時12000人いた小高区は避難の影響で、現在に至っても3000人まで人口が減少し、これは生まれ育った故郷に帰りたいと願い、戻ってきた高齢者に対し、若い人が住みにくい町かつ故郷の感覚が薄れたことで帰ってこないことが原因だそうです。この影響を受け、職員が大幅に不足しているそうです。
これによって、施設への入居希望の待機者数は200人にも及び、施設の収容人数の3分の2でしか受け入れられない現状があるそうです。


このように、震災を機に7年の休止を経た梅の香の主な問題点として、まず地域密着型の運営の必要性や、地震経験がない、知らない世代へ伝えること、安全な避難方法の確立、これらをできる範囲で継続して事業を行うことが挙げられます。
これらの対策として梅の香では、業務上高い年齢層の人材採用が難しい現状を打破するべく、移動式リフトやロボットの活用によって作業の効率化を図ったり、パートにも介護職の業務を受け持たせたり、浴室改修によって動線を短くするなどの工夫をしてきました。また、外国人雇用を積極的に行い、労働環境の改善に努めているそうです。


今回、話を伺って外国人雇用を勧めて、若い職員を増やすのに加え、まず若年層の離職率が問題だと感じました。また若年層の介護への参入数も非常に少なく、実際介護職の魅力派何かという問いに対し、職員さん自身も悩むぐらいに大変な職場であるとお聞きしました。またせっかく興味を持ってくれた若い方も、3、4年働いたのちに、職を離れる方が多いとお聞きしました。このような状況は全国各地で見られ、介護者の雇用、給与面、待遇面での政策提言が必要だと感じました。
また実際報道でみた状況と実際の状況にはギャップががあり、真冬で寒さに耐えながら、自分の身を守るのも精一杯であるのに支援もするという過酷さ、その状況を正しく早く報道することの難しさを感じました。そこで、行政レベルでしっかりとした避難モデルを策定必要があると感じました。
コロナ禍を経て自然災害だけではなく、感染被害にも気を配って事業を進めなければならない現状や、被災地特有の問題点は、過疎地域を中心とした日本全体の直面する問題点であり、福島の一例を考察することで、社会保障についてより学ぶことができました。
このような機会を下さった梅の香の皆様、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。