2025.06.26
【課外活動】3年生福島合宿レポート(前泊)
令和7年(2025年) 6月9日、10日
先日、菊池先生と当ゼミ3年生21名で、2日間にわたり福島県の南相馬市(小高区)、双葉郡(浪江町)に訪問いたしました。
4年生を含めた希望者と菊池先生のみ8日から前泊し、いわき市を訪問しました。
菊池ゼミ 2025年度福島合宿レポート(前泊)
文:野嶋優那
〇いわきワイナリー
まず、就労継続支援B型事業所であるいわきワイナリーへ伺いました。ここでは、障害者の方と職員の方が、お互いに業務を分担して、質の高いワインを製造しています。震災前に使用していた農園が原発事故の影響で立ち入り禁止になってしまったため、震災後に地域の方々の応援を受けながら、また1からワイン作りを始めたそうです。実際に、葡萄畑の見学やワインの試飲もさせていただき、職員の皆様のワイン作りと障害者支援への情熱を感じることができました。
〇小松理虔氏講演会
続いて、いわき市小名浜を拠点とし、地域活動や文筆活動を行っていらっしゃる、小松理虔様にお話を伺いました。小松様は、知的障害者の方や認知症の方との交流、東日本大震災の経験を通して、「共事者」という概念を提唱しています。
特に印象に残ったのは、一見理解に困るような障害者の方の行為も、何らかのメッセージを伝えようとしている「表現未満」の行為なのだ、というお話です。だから、障害者の方にその行為をやめさせるのではなく、私たちがその表現しきれていないメッセージを汲み取って、障害者の方の意志をできるかぎり実現するのが重要ということでした。
障害者や認知症の方の介護、震災復興といったテーマは、実際にそのような経験をしたことがなかったり、専門的知識がなかったりすると、「自分にはできることがない」と思って消極的になってしまいがちです。しかし、一歩踏み出して、ただ一緒に時間を過ごしてみるだけでもプラスの効果を生むことができるかもしれないということを知りました。そのような、ある意味「部外者」の自分だからこそ、新たな関係を生むことができる可能性を秘めているのだということは常に心に留めておきたいです。
自分は「非当事者」だからといって、自分と当事者の間に線を引いてしまうと、そこから何の進展も得られない。しかし、たとえ自分が障害をもっていなくても、また震災を経験していなくても、何らかのルートを通じて関わりを持ち、「共事者」になることはできる。そのような前向きな姿勢こそが、新たな人と人との繋がりや、社会全体の価値観の変化というものを生んでいくのだと感じました。